| 中国漢方とは、中国の伝統医学である中医学の理論と診断学を応用して生まれた薬で、中薬又は中成薬と呼ばれる場合もあります。中国の医学は日本にも昔から伝えられて、漢方医学として、今も日本の医療を支える一翼となっています。中国の医学、中医学と日本漢方は、源流は同じなのですが、長い歴史の中で、別々の発展をしてきたと考えられます。 |
| そのため、日本でよく使われる処方と中国でよく使われる処方に若干の違いが見られます。 |
| また、日本では明治以後、漢方は正式の医学とは見なされず一部の熱心な医師や薬剤師の漢方家によって支えられてきたわけですが、中国では、中華人民共和国の成立後も、伝統医学を大切にし、中医学として正式な医学教育が続けられ、研究されてきました。その結果、日本の漢方にはない優れた処方も数々見いだされるようになっています。 |
そして日本でもここ十数年、漢方の医療における役割が見直され、それとともに中成薬の輸入も盛んになり、私たちも手軽に飲めるようになりました。

☆漢方医学の気の考え方☆
漢方医学では、気・血・水(津液)を人体の生理機能、新陳代謝、生命活動の維持に最重要の基礎と見なしています。しかし、血・水は直接見えますが、気だけは空気のように見えません。
数年前、東京電気大学の学者がハイテク機械を駆使して気功師の手から発する外気を測定したところ、驚くべきことに一種の微小な粒子の流れをキャッチしました。気は物質として存在することが認められたのです。気は確かに体の隅々にまで存在しています。
ところで『気』には、さまざまな意味があります。
ひとつはエネルギーで、気が不足するときに呈する症状(倦怠感、無力感、疲れやすい、ちょっと体を動かしただけで動悸、息切れ、めまいがしたり、冷や汗をかく)を気虚証といいます。これには気を補う薬(補気薬)を服用します。代表的な処方に補中益気丸(ほちゅうえっきがん)があります。
もうひとつの意味は機能です。たとえば、心気は心機能のことで、腎気は腎機能だと理解できます。したがって心気虚は心機能の低下で、西洋医学でいう心不全、不整脈などがそれにあたります。これには麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)が有効です。
また、衛気(えき)は文字通り体を防衛する気で、現代の免疫機能、抵抗力に相当します。この衛気が弱ければ免疫力の低下によってカゼなどの病気にかかりやすいし、治りにくくなります。この衛気を強化する働きを持つ漢方薬が衛益顆粒(えいえきかりゅう)です。
気の病気は気の不足によるものばかりでなく、気は体中を流れるものであるため、ストレスがたまると、気が停滞しかねません。これを気滞証といい、のどの詰まる感じ、胸がスッキリしない、上腹部に膨満感、げっぷ、ため息、ガスがたまる。女性では乳房が張る、いらいら、怒りっぽいなどの症状がよくみられます。気の流れをスムーズにするために、気を整える薬、理気薬を服用します。星火逍遥丸(せいかしょうようがん)や開気丸(かいきがん)がこれに適応します。
☆漢方医学の血の考え方☆
血流は絶え間なく河のように流れています。さまざまな血球は河を運航している舟のようなもので、酸素や栄養物質を体の隅々まで運んでくれます。そして血管は、河の両側の堤防のようなものであるといえます。
漢方医学でいう『三大血症』とは血流に関連する病気のことで、それは河にたとえられます。以下、血虚証(けっきょしょう)、出血、 血(おけつ)の三大血症についてそれぞれ紹介します。
【血虚】長い間雨が降らないと、水量の不足によってこの流域の生活用水や農業・工業用水などが足りなくなります。そして舟も動けなくなり、荷物を運ぶことにも支障がでて、商品や原材料の供給も不可能になります。
この状況によく似ているのが漢方医学でいう血虚です。これは貧血のように血液の量が少なく、あるいは赤血球が少なくて、臓腑や組織に与える酸素や栄養分が不足するために、いろいろな機能障害が起こる病気です。血虚証の治療法を補血又は養血といいます。この代表的な漢方薬が婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)です
【出血】夏に大雨が続いたり、集中豪雨にあって両岸の堤防が破られ、河の水があふれ出すと、河水や舟が流出するだけでなく、両岸の民家や土地に大きな被害をもたらすことになります。出血は、これと全く同じことです。出血の治療法を止血といいます。中国漢方では止血鎮痛薬として田七人参(でんしちにんじん)が有名です。
【血 】中国5000年の文明は黄河流域が発祥地といわれています。黄河の上流は黄色の大地であるため、河水には土砂が多く含まれ、下流に向かって流れるうちに、土砂が川の底に沈殿してうっ積します。あるところは完全に詰まって、あるところは河の水があふれて別の所に新たな河ができます。そこで、「千古の害河」といわれたこともあります。
血流も黄河のように、血中の脂肪分が多くなると内膜の下に沈着して、血管が詰まりやすくなります。こういう状態を漢方医学では、 血(おけつ)といいます。 血の治療法を活血あるいは活血化 (かっけつかお)とよびます。活血化 薬としては冠元顆粒(かんげんかりゅう)や血府逐 丸(けっぷちくおがん)など、数多くの方剤があります。
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